宇宙旅行はもはやSFの世界だけの話ではありません。
民間人が宇宙へ行ける時代が、確実に近づいています。
しかし、気になるのはその「費用」ですよね。
この記事では、現在の宇宙旅行の相場から、前澤友作さんが実際に宇宙に行くのにかかった費用、一般人が目指すにはどれほどの金額が必要なのか、そして将来的な展望まで、最新情報をもとにわかりやすく解説します。
宇宙旅行にかかる費用はいくらか?
宇宙に行くための費用は、旅行の内容や企業によって大きく異なります。
ここでは代表的な金額とその背景を紹介します。
現在の宇宙旅行費用は数千万円〜数百億円

2025年時点で民間人が体験可能な宇宙旅行には大きく分けて2種類あります。
1つは数分間の無重力体験をする「サブオービタル飛行」、もう1つは国際宇宙ステーション(ISS)などに滞在する「軌道飛行」です。
たとえば、ブルーオリジン社の“New Shepard”によるサブオービタル飛行は、1回あたり約5,000万円前後とされており、ほんの数分間でも高額です。
一方、ISSへの滞在型ミッションでは、1回100億円以上の費用がかかることもあります。
日本円換算での具体的な相場【2025年版】

2025年時点の日本円で整理すると、以下のような費用感になります。
種類 | 費用(目安) | 内容 |
---|---|---|
サブオービタル | 約5,000万〜1億円 | 約10分の弾道飛行+無重力体験 |
軌道飛行(ISS) | 100億円以上 | 数日〜数週間の滞在ミッション |
月旅行(計画中) | 数百億円規模 | ※前澤氏のdearMoon計画など |
なお、為替や企業方針によって価格は変動するため、最新情報のチェックが必要です。
「10分だけの宇宙旅行」にも数千万円かかる理由

「たった10分で5,000万円?」と思うかもしれませんが、この価格にはロケット開発費・安全保障・燃料・訓練・保険など、さまざまな要素が含まれています。
航空機と異なり、打ち上げ1回ごとのコストが非常に高いため、参加者ひとりあたりにかかる負担も大きくなっているのです。
前澤友作氏の宇宙旅行費用はいくらだった?
日本人で最も有名な宇宙旅行者といえば、前澤友作さんです。
彼の宇宙旅行はメディアでも大きく取り上げられましたが、その費用はいくらだったのでしょうか。
前澤氏のISS滞在ミッションは約100億円超

2021年、前澤友作さんはロシアの宇宙船「ソユーズ」に搭乗し、国際宇宙ステーション(ISS)に12日間滞在しました。
この旅にかかった費用は、約100億円以上と報じられています。
費用の内訳には、ソユーズ打ち上げ費用、ISS使用料、訓練プログラム、同行スタッフ分などが含まれ、すべてを民間でカバーした極めて稀なケースといえます。
月旅行「dearMoon計画」も桁違いの予算規模

さらに前澤氏は、イーロン・マスク率いるスペースX社と連携し、「dearMoon計画」として月周回旅行も企画しています。
このプロジェクトの総費用は公表されていないものの、数百億円規模の契約であることは確実とされています。
この計画では、前澤氏が「アーティスト8人を無料招待する」ことで話題となり、「月旅行は夢じゃない」と世間の注目を集めました。
一般人との金額差はどこにある?

前澤さんのような長期滞在や月周回といった本格的な宇宙旅行は、通常の「民間向けサブオービタル飛行」とは比べものにならないほどの設備・支援体制が必要です。
たとえば、ISS滞在には宇宙服の準備から食事管理、地上との交信設備、緊急脱出対応など膨大なコストがかかります。
一方、弾道飛行型は「行って帰ってくるだけ」に近いため、費用が抑えられているという違いがあります。
なぜ宇宙旅行はこんなに高いのか?
宇宙旅行の費用が数千万円〜数百億円にもなる理由には、明確な背景があります。
その“高さ”の内訳を見ていきます。
ロケット1機にかかる費用と燃料コストが莫大

まず最も大きなコスト要因は、「ロケット開発」と「打ち上げ」の費用です。
ロケット1機を設計・製造・テストし、無事に打ち上げるには、数百億円ものコストがかかります。
さらに、ロケットは一度飛ばすだけで大量の燃料を消費し、その燃料も特殊で非常に高価です。
たとえば、スペースX社の「ファルコン9」でも、打ち上げ1回あたり約70億円以上かかるとされています。
安全対策・訓練・保険が膨大なコスト要因に

宇宙旅行者は、無重力や急激な加速に耐えるために数週間〜数か月の訓練を受ける必要があります。
加えて、搭乗者の命を守るための安全装備や緊急対応システム、医療サポート体制も必要です。
これに加えて、死亡や事故に備えた高額な保険料も上乗せされます。
宇宙旅行は「命を預ける乗り物」であるため、航空機とは比較にならないレベルの安全設計と責任が求められるのです。
人類初レベルの事業はインフラ整備が未成熟

宇宙旅行は、まだ「一般化」していない新しい分野です。
地上の空港のようなインフラは整っておらず、すべてが一つひとつ手作業で準備されているような段階です。
そのため、航空機や新幹線のように「量産効果で価格が下がる」状態にはまだ至っていません。
つまり、今の宇宙旅行は“試作機の世界”であり、そのぶん費用も跳ね上がってしまうというわけです。
一般人でも宇宙に行けるのか?
これまで宇宙は、限られた訓練を受けた宇宙飛行士だけの世界でした。
しかし、近年では技術の進歩と民間企業の参入によって、一般人でも宇宙に行けるチャンスが現実になりつつあります。
実際に宇宙旅行をした民間人の事例紹介

たとえば、2021年にはスペースXの「インスピレーション4」ミッションで、完全な民間人クルー4人が地球周回飛行を実現しました。
彼らはNASAの宇宙飛行士ではなく、医師、実業家、エンジニアといった一般人です。
また、日本人では前澤友作氏がソユーズでISSへ行ったほか、2022年には米ブルーオリジン社のロケットで90歳のウィリアム・シャトナー(俳優)が宇宙へ行き話題となりました。
こうした事例から、「選ばれた一部」ではなく、一般人が宇宙を体験する時代が始まっていると言えます。
抽選・支援・スポンサーによるチャンスも拡大中

前澤氏は「月へ行く8人を無料で招待」するプロジェクトを立ち上げたり、企業がPR活動の一環で宇宙旅行チケットを提供したりと、一般人向けのキャンペーンや抽選の機会も増えています。
また、将来的にはローンやサブスクリプション型の宇宙旅行プランが登場する可能性もあり、資産家でなくてもチャレンジできる道が開かれつつあります。
民間宇宙旅行のハードルは確実に下がっている

技術の進歩により、再利用型ロケットや自動操縦システムが普及し始め、1回の打ち上げコストは徐々に下がってきています。
スペースXやブルーオリジン、ヴァージン・ギャラクティックなどが競争することで、価格と安全性の両面で改善が進行中です。
まだ誰でも気軽に行ける段階ではありませんが、かつては“夢”だった宇宙旅行が、“目標”に変わりつつあるのは間違いありません。
将来の月旅行や宇宙観光の費用はどうなる?
宇宙旅行の進化は止まりません。地球周回を超えて、「月へ行く」ことも現実的な目標として進められています。
では、その費用は今後どうなるのでしょうか。
2025年以降の価格予測とイーロン・マスクの構想

イーロン・マスクが率いるスペースX社は、再利用可能な大型ロケット「スターシップ」を開発中です。
このロケットが本格運用されれば、1人あたりの宇宙旅行費用は大幅に下がる可能性があります。
マスク氏は「数十万円〜数百万円レベルで宇宙旅行を実現したい」と公言しており、将来的には一般的な国際旅行と変わらない価格帯を目指しているとも言われています。
月面ホテル・ステーション構想とその費用

アメリカの民間企業や国際宇宙機関では、月面にホテルや観光施設を建設する構想も進んでいます。
これが実現すれば、単なる月周回旅行にとどまらず、**月での“滞在型観光”**が登場する可能性もあります。
ただし、月面の基地建設には莫大な資金と安全対策が必要であり、初期の月旅行は前澤氏のように数百億円規模になると見込まれています。
価格は航空券のように“下がる”のか?

歴史を振り返れば、飛行機が誕生した初期も「富裕層の贅沢品」でした。
しかし、インフラ整備と技術革新が進むにつれ、今では誰でも飛行機に乗れる時代になっています。
同じように宇宙旅行も、「最初は超高額」「その後、段階的に低価格化」という流れをたどると考えられています。
早ければ2030年代には、数百万円〜数千万円での月旅行も現実になるかもしれません。
宇宙旅行に危険性はあるのか?
宇宙旅行はロマンに満ちていますが、同時に命を預ける行為でもあります。
ここでは、実際にどのような危険があるのか、そしてその対策について解説します。
過去の事故・トラブル事例とその原因
宇宙開発の歴史では、残念ながらいくつかの重大事故が起きています。
たとえば、アメリカのスペースシャトル「チャレンジャー号」(1986年)と「コロンビア号」(2003年)の事故では、乗員が全員亡くなっています。
また、民間ロケットでも打ち上げ失敗による爆発や通信障害が発生することがあります。
宇宙という過酷な環境では、小さなエラーが命に関わるというのが現実です。
最新の安全対策と緊急対応システム

一方で、民間企業はこうしたリスクに真剣に向き合っています。
たとえば、スペースX社の「クルードラゴン」には、緊急脱出システムが搭載されており、打ち上げ中に異常があった場合でも乗員を安全に退避させる仕組みが整っています。
さらに、搭乗前には徹底した訓練・健康チェック・想定外のトラブル対応演習が行われ、万が一の事態に備えています。
旅行者は「ただ乗るだけ」ではなく、乗員の一員として責任と準備が求められます。
リスクはあるが「限りなく安全」へと進化中

現在の宇宙旅行は、航空機のように“完全な安全”とは言えませんが、リスクを限りなく低くする努力が進んでいます。
特に民間企業の競争によって、安全性の改善は加速度的に進んでおり、「誰でも宇宙へ行ける時代」を支える基盤が着実に整えられています。
つまり、危険性はゼロではないものの、それは“宇宙という環境の本質”に根ざしたもの。技術の進化が、そのハードルを一つずつ乗り越えつつあるのが、今の宇宙旅行のリアルです。
宇宙旅行の費用は“高い”が、“現実的”な時代へ

宇宙旅行は、まだ「誰でも行ける」ものではありません。
しかし、数千万円〜数百億円という高額な費用の背景には、ロケット技術・安全対策・未知の領域への挑戦といった、確かな理由が存在しています。
前澤友作氏のような富裕層が切り拓いた道は、今まさに一般人へと開かれ始めています。
数分間の無重力体験ならば、数千万円で実現可能になり、将来的には月旅行や宇宙ホテルといった観光の可能性も広がっています。
もちろん、宇宙にはリスクも存在しますが、各社が安全性を徹底的に追求し、旅行者の命を守る体制も年々進化しています。
つまり、宇宙旅行は「特別な夢」ではなく、「届くかもしれない現実」へとシフトしつつあるのです。
あなたが宇宙を見上げるその日、そこはもう“旅先のひとつ”になっているかもしれません。
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